STORIES Vol.5 後編
Keeping things for the best
着実に堅実に叶えていく未来

瀬⼾優(彫刻家)
STORIES Vol.5 後編
Keeping things for the best
着実に堅実に叶えていく未来 瀬⼾優(彫刻家)
YU SETO
Sculptor

新しい場所でも変わらない価値観とともに

「作家はマルチじゃないと厳しいと思っている」という言葉通り、瀬戸さんは全て自分で実行し、計画的に実現していく。現在のシェアアトリエは、自宅を探している時にたまたま見つけた物件。改装可能物件だったので、シェアアトリエに最適と思い立ち、すぐクラウドファンディングサイトを立ち上げ、2週間で契約。壁に断熱材を入れたり、床を貼ったり内装まで自身で手掛けた。他にも月額制のオンラインサロンの運営に、デザインや写真など活動の幅は広い。8月にはYouTubeチャンネルも立ち上げる予定だという。

stories05_22.jpg


「好奇心が旺盛で、興味があることは徹底的に調べ尽くす。座右の銘は“思いたったらすぐ行動”。やってみたいと思ったら調べて、すぐ挑戦してみる。どうしたら得が生まれるか、を考えるのも好き。サービス能やビジネス能が長けていると言えば聞こえはいいですが、悪く言えばずる賢いのかもしれない。芸術家って、メリットデメリットを考える前に、衝動が勝つイメージがあるけれど、僕はそれができない。効率を考えたり、どちらかと言えば用意周到なタイプ。もちろん直感で決めることもありますけどね」

stories05_23.jpg

stories05_21.jpg

それはもの選びにも通じている。制作に必要な道具は、学生時代にバイトをしながら買い集めたものを今でも大事に使っている。長く使うためにいいものを多少高価でも頑張って買うようにしているから。趣味の料理で使っている鍋も鉄のいいものを買って育てているという。ヘアケアやコスメも同様だ。

「ファッションやコスメ、ケアは好きで、気を遣っています。選ぶ基準は、香りが好きとかパッケージに惹かれるとか、気分がよくなるとか、ちょっといいものを使うようにしています。それを使っている自分も好きになれる。だからなんでもいいとか、安いものでいい、という感覚はなくて。自分にとっていいものを選ぶことが一番。知る人ぞ知るとか、一点ものにも惹かれます(笑)」

stories05_30.jpg

stories05_29.jpg

stories05_24.jpg

35歳以下で、彫刻家として活動できている人は、ほんの一握りという厳しい世界ではあるが、瀬戸さんはマルチに活動の幅を広げながら、彫刻家としての成果を堅実に残している。がむしゃらだった学生の頃の自分と、今の自分を比べて、生活に変化はあるものの、心境にはあまり変化はないという。

「現実主義なので、明確な目標は幾つもあるけれど、可能性がないような大きな夢を口にはできないんです。目の前の目標を堅実に、着実に叶えていくような。ただ生活は変わりましたね。収入も増え、事業としても大きくなり、今年からアルバイトを雇い始めました。責任感も増しますし、効率も今まで以上に考えるように。選択肢も増えて、ちょっとずついろんなことが変わり始めた感覚に今います」

stories05_28.jpg

While treasuring my unchanging sense of values, I take assertive steps toward achieving my goals.
stories05_26.jpg

2年後には地元小田原に住居兼アトリエを建て、拠点を移す予定の瀬戸さんは、今まさに変化の中にいる。正直彫刻家として生計を建てられていることが奇跡に近い。これ以上何かを望むのはおこがましいとさえ思っている。だからこそ現状維持を続けること、今と変わらずにいたいと望みながらも、必然的に訪れる生活の変化。そんな瀬戸さんが5年後に叶えたいこと、思い描く未来とは。

「5年後、全然想像できないですね(笑)1ヶ月後何が起きているかもわからない。現実主義だけど、飛びつく時は衝動で飛びつくので、心境が変わってしまっているかもしれない。でも作品作りにおいては、叶えたいことがあります。大学院の卒業制作で作ったものなのですが、今まで作った作品の中で一番大きい作品がシロサイ。5年後にはそれを超える大きな作品を作りたいですね。自分の作業場で作れる最大規模の作品を毎年更新していきたいという目標はあります。小田原に新しいアトリエができたら、それが叶えられるかもしれないですね。それから今の状況が落ち着いたら海外のアートフェアにも出展したい。あとアフリカに野生の動物を見に行きたいですね」とリアルな夢が溢れる。

“野生”というコンセプトからは外れないこと、実物大で作ること。自分のコンセプトから外れることなく作品を作り続けている瀬戸さん。彫刻家・瀬戸優と言えば、焼き物にガラスが入った彫刻とか、必ず実物大のものを作っているとか。変わらずに在る自分の中の価値観を大切にしながら、目標を着実に達成しステップアップしていく。

stories05_27.jpg

PROFILE

瀬⼾優/せとゆう 1994年神奈川県⼩⽥原市⽣まれ。⾃然科学を考察し、主に野⽣動物をモチーフとした彫刻作品を制作する。彫刻の素材であるテラコッタ(⼟器)は作家の触覚や軌跡がダイレクトに表⾯に現れ、躍動感のある作品となっている。画廊での展⽰販売を中⼼に国内外へ幅広く作品を提供。

MORE CONTENTS
stories05_25.jpg
NOW VIEWING
STORIES
着実に堅実に叶えていく未来 瀬⼾優(彫刻家)
stories05_11.jpg
STORIES
リズムが生まれる心地よいスピード感 瀬⼾優(彫刻家)
landscape05_21.jpg
LANDSCAPE
あらためて感じる、最高の街
landscape05_11.jpg
LANDSCAPE
遊びも1人時間も、どんな時もこの海で
LATEST ARTICLES
stories06_28.jpg
STORIES
ものづくりに吹き込む物語 ⽵沢むつみ(⾰作家)
landscape06_14.jpg
LANDSCAPE
陣⾺⼭麓で⾃然とともに⽣きる
stories06_15.jpg
STORIES
暮らしの中のアクセサリーを生みだす ⽵沢むつみ(⾰作家)
landscape05_21.jpg
LANDSCAPE
あらためて感じる、最高の街